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「ポータブル血液浄化装置」山梨大らの研究チームが開発、臨床試験へ

NEWS人工透析, 医工連携, 医療ICT, 医療IT, 医療機器, 腎臓病, 血液ろ過

 
今回開発されたポータブル血液浄化装置(山梨大学吉田教授提供)

山梨大医学部の松田兼一教授(救急医学)らの研究グループが、かねてより進めていた可搬型の血液浄化装置の開発に成功したことが明らかになった。装置はビジネスバッグ程度の大きさまで小型化されており、家庭用電源での稼働が可能なほか、動物実験で数日間の連続動作が確認されている。研究チームでは2023年の実用化を目指す。

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ヤギによる試験で連続6日間稼働、事故もなし

今回開発した可搬型血液浄化装置(山梨大吉田兼一教授提供)
今回開発した可搬型血液浄化装置(山梨大吉田兼一教授提供)

開発したのは山梨大学医学部付属病院救急部の松田兼一教授、神戸大学大学院工学研究科機械工学専攻の山根隆志氏、北里大学医療衛生学部医療工学科の小久保謙一准教授らの研究チーム。血液の浄化には「透析」や「ろ過」など複数の方式があるが、現在主流となっている人工透析装置は冷蔵庫程度の大きさで動かすことはできず、腎臓病、腎不全の患者は設備を持つ医療施設に週に数回の通院を余儀なくされ、1回ごとに4時間程度拘束される。現在普及している装置以外の選択肢がないため、病状が急変した場合や、災害などで停電が起きた場合、患者は大きなリスクにさらされることになる。また病院側にとっても毎日部品を交換する必要があるなど、作業負担は大きなものになっている。

研究チームはこの課題を克服するため、心臓手術時に使用する人工心臓用のポンプを小型化したり、「ろ過」方式を採用して透析液が不要なフィルターを採用、さらにサイズを小さくするなど装置の構造をシンプル化・小型化することに腐心した。ポンプにすることで懸念される血液凝固による詰まり、動作停止も防ぐよう管の形状にも工夫を凝らした。結果、処理能力で比べれば据置型の人工透析装置の半分程度になるが、持ち運びが可能なアタッシェケース(300mm×160mm×95mm)程度の小型化に成功。なお処理能力に関してはフィルターの数を増やせば増強が可能で、家庭用電源100Vでの動作も可能としている。

研究チームではこの装置の有効性を確認するため、ヤギ3頭に装置を取り付け連続稼働実験を行ったところ、部品交換なしで6日間連続で動作し、血液詰まりなどの事故は起こらなかった。うち1頭は2週間連続で行っても、健康上の問題は起きなかったという。研究チームではこの装置が普及すれば、災害時や急性腎不全時などの予期せぬ事態に対処可能になるほか、現在医療施設に定期的に通う患者が自宅で血液浄化を行えるケースが増え、QOLを向上できるとみている。今後はさらなる安全性と機能の向上をはかり、まずは緊急時・災害時での活用を想定した実用化を2023年をめどに目指す。

 

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