「オンライン診療、初診行うのは面識あるかかりつけ医」 日本医師会が3大臣の合意表明受け見解

日本医師会の中川俊男会長は2020年10月14日の定例会見で、先週政府の所管関係3大臣が、オンライン診療の初診からの解禁も含む恒久化について合意したことについて、初診を行うのは患者と面識のあるかかりつけ医が基軸になるべきとの見解を示した。

「安全性と信頼性という言葉が入ったのは評価」

政府が、現在時限的措置として解禁している初診を含むオンライン診療について恒久化を決定したことに対し、日本医師会は以前より見解を表明してきた。先週、田村憲久厚生労働大臣、河野太郎行政改革担当大臣、平井卓也デジタル改革担当大臣が会談し恒久化について改めて合意するとともに「安全性と信頼性をベースに」映像を使用するオンライン診療を原則とすることを表明したことを受け、定例会見の場で政府方針に対する意見を示した。

会見に出席した中川会長はまず3大臣の合意内容について「安全性と信頼性はオンライン診療の必須条件。これらの言葉が入ったことを評価している」と述べた上で、初診からオンライン診療を行う場合について「初診で初めて会った医師と患者がいきなりオンライン診療を行うのは、非常に不安というのが医師、患者双方の共通認識ではないか」と述べ、オンライン診療で初診を行う場合、以前から患者と面識のあるかかりつけ医が行うべきだとの考えを示した。またオンライン診療の利便性のみを優先し推進することは医療の質の低下に繋がりかねないとし、この点でも、かかりつけ医が担い手として基軸になるべきだとの見解を表明した。つまり、その診療においては初診でも、以前から他の疾患の診療で見知っている患者と医師に限って認めるべきだとの立場だ。

オンライン診療については現下、コロナ禍への対応のため、時限的にかかりつけ医のいない患者に対しても初診からのオンライン診療が認められている。診療を行った医療機関に対しては実施した全例について報告することになっているが、厚生労働省のもとに集まった報告例の中には、長距離の遠隔地からオンライン診療を行った事例が散見されている。また3大臣の合意内容では対象疾患の制限も撤廃するとされているため、レアケースではあるものの、自由診療かつ院内処方を行なっている一部の医療機関が、処方を効率的に行うために事実上診療せずにオンライン診療を利用することも妨げにくくなるため、懸念を表明したかたちだ。