熊本県、地域医療情報ネットワーク参加の患者データ約10万人の利活用スキームを構築、運用へ 県レベルは全国初
熊本県と、熊本県内の地域医療情報ネットワーク「くまもとメディカルネットワーク」を運営する県医師会などは13日、同ネットワークに同意し参加している患者のデータを、民間などが二次利用できる仕組みを構築することで合意した。同ネットワークには現在まで10万人以上のデータが登録されており、県域レベルでの医療情報の二次利用スキームは全国初とみられる。
民間事業者がデータを利用し熊本大学と共同研究
地域医療情報ネットワークの持続可能性については、費用面など課題が山積している状態だが、ひとつのモデルケースが熊本から提示されそうだ。熊本県医師会が運営する「くまもとメディカルネットワーク」には、県内の参加医療機関を受診した患者、約10万人以上のデータが登録されており日常診療に活用されている。こうしたデータを診療以外のヘルスケア領域、防災、また民間事業者による創薬などの研究に活用可能とする仕組みを構築し「県民の健康づくり」の一助とするため、県では関係者との会議体を作り今年度複数回協議してきた。13日、4回目の協議が行われ、仕組みの概要と構築、運用開始のスケジュールが提示された。
それによると、データ利用に関して、県と熊本大学に民間事業者向けの相談窓口を設置。民間事業者から共同研究などが提案された場合、県が内容を精査し、その後熊本大学と県医師会が妥当性を審査、利用許可を決定するという。研究スキームとしては提案者と熊本大学の共同研究となる。協議では、来年度から3年間試験運用のかたちでスタートさせることで合意した。
こうした患者データの利活用に関しては、自治体も含む保険者が民間事業者と共同研究する事例が多くみられているが、地域医療情報ネットワークのデータを活用した県単位の取り組みは全国初とみられる。県ではこの仕組みにより、地域にあわせた医療サービスや新薬の開発、それにともなう企業進出による雇用の創出も期待できるとしている。