エルピクセル、10種の検査画像診断に対応するAI技術を発表
2017年11月24日、エルピクセルは脳MRI、乳腺MRI、胸部X線画像など、多数の検査画像に対応できるAI技術基盤「EIRL」を発表した。品質の高い教師データをアカデミアの協力で投入しており、少ないサンプル数でも効率的、高精度に学習できるという。順次、医療機器としての承認を目指す。
10種の検査画像の診断支援が可能 独自の病理画像3D構造解析も
東大発の医療ベンチャーである同社は、これまで国立がん研究センターなど複数の医療機関と連携し、AIを活用した医療画像診断を支援するシステムの研究開発を行ってきている。今回発表した「EIRL」はこれらの集大成と言えるもので、以下の画像診断支援が可能という。
脳血管の狭窄(脳MRA)
脳動脈瘤(脳MRA)
大脳白質病変(脳MRI)
正常圧水頭症画像所見(DESH)
乳腺MRI
胸部X線
肺がんCT画像
肝がん画像
大腸内視鏡画像
病理画像の3D構造解析
それぞれの教師データに関してはアカデミアの協力が得られており、公開されている限りでは、肺がんCT画像は国立がん研、大腸内視鏡画像は慈恵医科大学、病理画像に関しては久留米大学からの提供を受けている。病理画像の3D構造解析は、経済産業省の 「平成28年度戦略的基盤技術高度化支援事業」(採択会社はTCK)に採択され昨年発表されたものだが、従前から進めている研究開発を進め、対象を拡大したものといえる。その他、EIRLは4つの特徴を持つという。
(1)医師のダブルチェック・トリプルチェックによって品質が担保された学習データを使用
(2)学習データが少なくても効率的・高精度に学習する独自技術を活用
(3)主要な画像診断装置および撮影プロトコルで撮影した医療画像に対応
(4)PACSシステムと連携可能
エルピクセルは、現在アメリカ、シカゴで開催されている「RSNA2017(第103回北米放射線学会)」にEIRLを出展しているが、今後日本でも順次医療機器の認証を取得し、数年以内での実用化を視野に入れている。