メタデータ、乳がんのリンパ節転移判定AIを開発 試用申込みを受付
メタデータは、深層学習による「乳がんリンパ節転移有無判定AI」を公表した。2016年度より厚労省科研費プロジェクトとして開発してきたが、このたび実用精度をクリアしたという。プロトタイプの試用申込みを2019年4月以降受付開始する。
厚生労働省科研費プロジェクトでの成果
女性のがん罹患率第1位の乳がんは、わきの下のリンパ節に転移することが知られる。したがって転移が疑われる場合、腋窩リンパ節郭清が行われるが、術後にリンパ浮腫や運動障害を起こしQOLが低下する例があることも課題だ。もし最初に転移をきたす乳房周囲のリンパ節=センチネルリンパ節(みはりリンパ節)で、転移の有無を手術中に迅速に診断し、がんの転移を認めない場合には、郭清を省略することができる。
このように乳がんのセンチネルリンパ節転移の有無を、より多くの施設で、手術中に迅速かつ安全に判定できるようにすることは、医療の質の向上という観点からも大きな意義がある。メタデータが参画した厚生労働省の科研費プロジェクト「病理デジタル画像・人工知能技術を用いた、病理画像認識による術中迅速・ダブルチェック・希少がん等病理診断支援ツールの開発(主任研究者:東京大学医学部附属病院 佐々木毅教授)」では、この転移判定をを支援するAI自動判定プログラムを開発した。
今回のツールは、既存システムと新規開発したAIを組み合わせたもの。
具体的には、病理組織デジタル画像スキャナーFino(パスイメージング社)で術中迅速診断用の病理スライドガラス標本を読み込ませ、取り込んだ病理デジタル画像をジグソーパズルのピースにすること(医知悟社のiCOMBOX)で、セキュアかつリアルタイムにAIセンターサーバーへ自動送信。その画像を今回共同研究で開発したAI自動判定プログラムで、瞬時に判定する。これをTMAPViewerAI(メタ・コーポレーション・ジャパン)で読み込ませることで、転移の部位を図に表して判定結果をオーバーラップ表示させ、依頼元の医療機関のデジタル病理画像上に描出する。
4月より試用申込みを開始
このシステムは、研究目的で、医師の診断に用いないことを条件に試用が可能。申込みは以下より受け付ける。
外部サイト:メタデータ株式会社