厚生労働省、定期受診患者に対するオンライン診療とオンライン服薬指導の実施を前倒しで容認

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 今般の新型コロナウイルス感染症対策の一環として厚生労働省がオンライン診療にも関連する事務連絡を発出した。慢性疾患を持つ定期受診患者に処方薬の継続が必要になった場合、対面診療を行わずに電話最新やオンライン診療による経過観察、ファクシミリによる処方箋発行を認めるとしている。

経過観察の患者にのみ、ファクシミリで処方箋発行 オンライン服薬指導も可

 厚生労働省が2月28日付で発出した事務連絡「発症が疑われる新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」によると、感染拡大防止の観点から、慢性疾患を持つ定期受診患者に対し新たな処方箋発行が必要になった時は、電話または情報通信機器を用いて診察し、ファクシミリを経由して患者が希望する薬局へ処方箋を送付することを認めた。また、処方箋を受け付けた薬局に対しても、処方薬の配送について確実性を担保した上で、同様にオンライン服薬指導を行うことも可とした。これらのフローは先日決定した4月からの診療報酬体系で認められているものだが、事実上前倒しで認めるものといえる。

 ただし、これはあくまでかかりつけ医が慢性疾患の患者を経過観察するプロセスで、かつ処方薬や診療方針を変更しないことが前提となっている。同省は通知の中で、新型コロナウイルスの感染、または類似症状が疑われる患者に対する初診を電話またはオンライン診療で行うことは許容しないと改めて示した。その一方で、診療にまでは至らない「健康医療相談」や、受診勧奨を行うことは差し支えないとしている。

通知を受け、各ベンダーも対応開始 無償提供や対応医療機関リストの公表など

 この通知を受け、オンライン診療サービスを展開するMICINは、同社サービスを導入している医療機関の中で、通知内容に沿ったオンライン診療(経過観察)、または医療相談が可能な施設を紹介するページを公開した。かかりつけ医でなくとも可能な医療相談に関しては直接医療機関名の公表を行なっているほか、オンライン診療に関しては、閲覧者自身で、自らのかかりつけ医を別ページで探せるようになっている

 なお新型コロナウイルス感染症に関する医療相談ができるオンラインサービスは他社も展開しており、LINEが厚生労働省の公式アカウントを開設しているほか(既報)、そのアカウント経由で、LINEヘルスケアの医療相談サービスも利用可能となっている。

 2020年2月29日追記:

 オンライン診療アプリを共同で展開しているオプティムとMRTも、厚労省の通知を受け、同社サービスを新たに導入する医療機関に対し同アプリを無償で提供すると発表した。

※2月28日付で配信した記事には「2月28日現在、紹介されているのは医療相談ができる機関のみ」としていましたが、関係者のご指摘を受け表現を変更しました。なおこれは閲覧者の最寄りのかかりつけ医が、オンライン診療サービスを導入していることを保証するものではありません。

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