血中タンパクのAI解析で疾患リスク予測を NECグループが米バイオベンチャーと協業、新会社設立

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NEC子会社のNECソリューションイノベータが、同グループのAI基盤をプロテオミクス(タンパク質解析)に応用し、疾患リスク予測のアルゴリズムを研究する新会社を設立した。高精度の血中タンパク質検出技術を持つ米ベンチャーと協業し、まずは循環器疾患の再発リスクの実用化に取り組む。

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数滴の血液から5,000種類以上のタンパク質検出技術を持つ米ベンチャーと協業

同社が設立したのは「フォーネスライフ株式会社」。NECグループが展開するAI技術群「NEC the WISE」を新たにプロテオミクスに応用するための新会社だ。プロテオミクスは、生物についてゲノミクス(ゲノム解析)よりも多くの情報を与えるため、ゲノミクスの次にシステム生物学の中心になる分野だと考えられている。

ゲノムは同じ生物の中の全細胞でほぼ均一なのに対し、プロテオーム(その生物が持つタンパク質のセット)は細胞や時間ごとに異なっているため、同じ生物でも、異なった組織、時間、環境ごとにタンパク質発現のありようが異なる。また疾患があると発現するタンパク質がしばしば変化することも分かっているため、プロテオミクスは、ある種の病気の存在や兆候を示すマーカーとして活用できる可能性があるとされている。

しかしプロテオームは同一生物の中でも、ヒトの全遺伝子が約25000個と言われているのに対し50万個を優に越えると予測されており、プロテオーム自体の検出に課題があるばかりでなく、その解析についても、医療分野で活用するに足る精度が出せるのかまだまだ未知数なのが現状だ。

これらの課題に挑むため、フォーネスライフは独自のタンパク質検出技術を持つ米バイオベンチャー「SomaLogic」社と協業する。同社は数滴の血液成分から5,000種類以上のタンパク質を測定できる独自技術、およびその技術で測定した20万人のタンパク質データと健康ナレッジデータベースを保持しており、現在50以上の疾病における発症リスク予測について研究中だという。同社は、この会社のCEOを取締役に迎え独占的に技術を活用。その上で、NECグループが展開し、医療分野も含め事例を積み重ねてきているAI技術群「NEC the WISE」を投入し、日本人における疾患リスク予測のアルゴリズムを確立していくという。

心血管および脳血管疾患の再発リスク予測サービス 10月に実用化

同社によると、その端緒としてすでに心血管・脳血管疾患の再発予測についてアルゴリズムを開発し、10月に提携医療機関でのサービス提供を開始する。その後も21年1月には同じ疾患の初発リスク、21年度から22年度にかけては糖尿病、肝疾患、認知症などに領域を広げ、23年度には50疾患以上に対応したいとしている。なお日本人における研究に関しては、循環器領域は東北大学循環器内科と共同研究を実施中で、認知症に関しては名古屋大学神経内科と共同研究を検討中という。