厚労省、個人の医療データ統合および一元管理、利活用を提唱
「保健医療分野におけるICT活用推進懇談会」が提言
厚生労働省は2016年10月19日、昨年から8回にわたり開催されてきた「保健医療分野におけるICT活用推進懇談会」の提言を公開した。提言ではまず、これまでの保健医療分野でのICT利活用は不十分、「たこつぼ化」が進行しているとして「ICTの技術革新を徹底的に活用し」「患者・国民本意のオープンなインフラを整備」することが必要だと訴え、『PeOPLe』と仮称する、患者・国民の基本的な保健医療データ(治療歴、服薬歴など)を一括管理する情報基盤の構想を表明。この統一の情報基盤を基礎に、その利活用を推進するプラットフォームの構築も提唱した。工程表も提言の中で公表され、2020年度にはスタートさせたいとしている。
『PeOPLe』構想とは何か?
提言によると『PeOPLe』(仮想)= Person centered Open PLatform for well-being の略だとし、「個人の健康なときから疾病・介護段階までの基本的な保健医療データをその人中心に統合する」ものと説明されている。つまり既往歴、服薬歴以外の治療に関するデータ以外も統合して取り扱うことを想定しているようだ。具体的には処置/検査値、アレルギーや副作用情報、健診データ、介護情報が考えられる。政府がかかわっている医療情報としてNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)があるが、こちらもいずれは統合されていくと思われる。それらの情報を紐づけるものとして、現在これも検討段階に入っている「医療等ID」が想定されているようだ。
『保健医療2035』ビジョンの一環としての具体策の提示
厚生労働省はこの懇談会の提言に先立って、20年後の保健医療全体のビジョンを提示した『保健医療2035』ビジョンを発表している。このビジョンでは、2035年時点で実現すべき保健医療の姿として「日本が世界の保健医療を牽引する」ことが掲げられており、今回はその具体的な下位概念が公表されたかたちになる。