世界初の「デジタル錠剤」、米国FDAで承認 2018年に市場へ
2017年11月14日、大塚製薬とプロテウス・デジタル・ヘルス社は、錠剤にセンサーを組み込み、服薬の有無を確認できる世界初の「デジタル錠剤」が米国FDAの認可を受けたことを発表した。2018年に米国内で市場投入の見込み。
抗精神病薬「エブリファイ」に極小センサーを組み込み
パッチ型のシグナル検出器で服薬を確認
今回承認された「Abilify MyCite®」は、大塚製薬の既存抗精神病薬「エブリファイ」に、プロテウス・デジタル・ヘルス社(以下プロテウス社)が開発した、摂取可能な極小センサーを組み込んで製造したもの。センサーは胃液に接するとシグナルを発する。シグナルは別途開発された、患者の体に貼り付ける検出器で服薬の日時を記録する仕組み。その後、センサーは安全に体外に排出される。検出器は服薬日時だけでなく活動量などの患者のデータも記録、専用のアプリにデータを送信する。患者は自身でそうした記録状況を確認するだけでなく、気分や睡眠の状況を追加で書き込むことも可能で、それらも含めた記録について患者自身が同意すれば、家族、医療従事者、介護者などとも共有することが可能だという。
両者はFDAへの審査を2015年に申請していたが2016年4月に一度却下されている。今回は求められた追加データを提出し、出願から2年での承認となった。今回の承認について大塚製薬代表取締役社長の樋口達夫氏は、「当社の精神疾患領域における25年以上の経験の中でも、今回の承認は大きな契機になる」とし「利用される医療機関や患者さんからのフィードバックをいただきながら展開していく」と述べた。
なお共同開発相手のプロテウス社は2001年設立のベンチャーで、今回の「Abilify MyCite®」の元になった、極小チップを用いた服薬管理ソリューション「Proteus Discover」を展開している。使用するチップはわずか寸法1mm、重さ0.02gで、検出器との間の通信は独自の通信方式を採用している。今後大塚製薬とプロテウス社は、まずは米国での少数の患者による臨床例を積み上げていくとしている。