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スマートフォンは電話ではない。医療と介護のかたちを変えうる「魔法の扉」
導入後の効果を目の当たりにした源幸氏は、本院である成人病センターでの導入を前向きに検討している。介護施設であるライフタウンまびではコミュニケーションの改善効果を実感したが、本院は医療施設という違いもあり、異なった活用法も探求してみたいという。
「ライフタウンまびに導入して実感したのは、スマートフォンは単なる電話の代替ではないということ。アプリケーションを入れればさまざまな使い方ができるわけですが、それでいて、職員はプライベートでは使い慣れているのですんなり操作できてしまう。活用度高さとと使い勝手の良さが両立していて、教育や運用コストも結果的に削減できるわけです」
そういった教育や運用コストの削減に、スマートフォンと同時に導入したアイキューブドシステムズのMDM製品『CLOMO』は大いに役立っているという。
アイキューブドシステムズが提供するMDM(モバイル・デバイス・マネジメント)製品『CLOMO』は、法人向けに導入されたスマートフォンを効率的に管理できるツールとして普及しており、8年連続市場シェアNo.1となっている。端末にインストールするアプリや、その他の設定を集中的に管理でき、利用状況を把握し場合によっては制限をかけることが可能。また盗難、紛失時には端末をロック、遠隔操作でデータ消去も行える。管理者にとって事実上なくてはならないツールだ。
「この製品がなければ、たとえ40台といっても端末の初期設定やアプリケーションのインストールに膨大な時間がかかってしまいますし、導入後のメンテナンスも端末ごとの個別対応になってしまう。『CLOMO』で集中管理できることのメリットは本当に大きいです」
本院での導入を検討する立場にある、臨床工学技士の山下由美子氏(病院事務部 副部長/臨床工学科 技士長)は、具体的な利用イメージを話してくれた。例えば職員に対しては、患者の検査値情報も含めた電子カルテ、入院患者の受け持ちリスト、手術室入室情報まで閲覧できたり、設置予定のビーコンを活用しての患者呼び出しも行えるようにすることや、ビーコンと連動して勤怠管理も行うこと。
患者さんのスマートフォン端末へも、「携帯診察券」機能や、診察の待ち時間を活用して行うロコモチェック、睡眠時無呼吸(SASS)、夜間頻尿などに関するアンケートの配信、周産期医療を充実させるための乳児健診・予防接種予約機能の実装など、本当に多彩な活用をイメージしているようだった。
これらはあくまで構想で、実際にどのようなアプリケーションを入れるかは今後の検討課題だが、この構想をできること自体がこれまでのICT導入のかたちとは明らかに違うという。
「例えば電子カルテや情報共有システムなど、スマートフォンを前提としないICTは、完成され用途も決まっている『閉じた』システムなんですよね。だから使う側が操作法を覚えるなど合わせなければならない。でもスマートフォンを使うとなれば、それが180度変わるんです。こう使いたい、こんなアプリはないかなど、自分たちで使いたいように決められる。『オープン』なんですよ」
40台のスマートフォンが見せた可能性は、彼らを新しい地平へ導く「魔法の扉」だったのかもしれない。本院にはもっと多くの台数が導入される予定だが、それが軌道に乗った時に彼らが見る地平は、今よりももっと広く、そして他の医療機関もモデルとして希望を見出せるような、未来を提示するものになるだろう。Med IT Techでは、後日、その未来の姿もレポートする予定だ。
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