メニコンと米Mojo Vision、スマートコンタクトレンズに関する共同開発契約を締結
コンタクトレンズ大手のメニコンは9日、米ベンチャーのMojo Visionとスマートコンタクトレンズの共同開発契約を締結したと発表した。Mojo VisionはAR(拡張現実)関連の技術で多くの特許を保持しており、現在スマートコンタクトレンズの開発研究を行なっている。両社はお互いの技術・ノウハウを持ち寄り、まずはその実現可能性について検証する。
極小サイズの液晶ディスプレイ技術を持つ米ベンチャー、すでに160億円超の資金調達済
今回メニコンが共同開発契約を結んだ米Mojo Vision社の強みは、スマートコンタクトレンズ実現に不可欠な要素技術の多くを既に持っていること。その中核は極小サイズの液晶ディスプレイパネルを実現する技術で、この技術を活用すれば幅0.5mm以下の面に70,000ものピクセルを詰め込むことが可能だという。この技術でコンタクトレンズの極小スペースに液晶ディスプレイを搭載すれば、様々な情報をARのように透過させて表示できるというわけだ。そして小さいサイズでクリアに映しこむため、光受容体が集中している中心窩に向けて発光するように設計することで、光の強さと電力消費を最適化する。
同社はこれを含めた様々な要素技術を評価され、2020年4月までに、GoogleのGradient Ventures、StanfordのStartXファンド、Khosla Ventures、New Enterprise Associates(NEA)、KDDIオープンイノベーションファンドなどから1億5,900万ドル(約165億円)を超えるベンチャーキャピタル投資を集めており研究開発を加速させている。2020年代の早い時期での実用化を目指しているが、その用途は視覚に問題を抱える様々な人に向けたソリューション。例えば遠くの道路標識のテキストを検出してよりはっきりと見えるようにしたり、色合いや色のコントラストを上げたり、見えにくい物の境界線に線を加えてわかりやすくするなどの機能実装を想定している。このような方向での研究開発を念頭においているのは、同社の共同創設者のうちCEOのドリュー・パーキンス氏とチーフ・サイエンティストのマイケル・ディアリング氏のいずれも視覚に問題を抱える当事者であるからだ。
メニコンと同社は今後、レンズ素材、レンズケア、フィッティングなどの領域でスマートコンタクトレンズのフィジビリティ・スタディを行い、順調に完了すればより広範な提携へと進む予定。