妊婦のライフログと生体データ解析で、疾患発症パターンなど発見 ToMMoとドコモが発表

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東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)とNTTドコモは、2019年3月5日、4年4カ月にわたった共同研究の成果を発表した。妊娠期間中に発症する病気の予兆を示すライフログや体内物質変動パターンを発見したという。

妊婦の疾患発症、新生児の低体重の予兆を捉え、分娩日の予測に成果

両者は2014年11月より、、妊娠期間中に発症する病気の予防・早期発見方法の確立をめざした共同研究を開始していた。ToMMoの呼びかけに応じた302名の妊婦のライフログ※1と、妊娠初期から産後1カ月まで定期的に採取した血液・尿・歯科検体などの試料を解析。参加者から得られた毎日のライフログは最終的に約600万件、血液・尿・歯科検体などの試料は約8,000本にも及び、妊婦を対象とした研究では世界最大規模だという。これらをToMMoの持つゲノム情報等解析技術および生命情報科学技術、ドコモの持つビッグデータ解析技術および機械学習等のAI技術で共同解析したところ、以下の結果が得られた。

<妊娠経過によるライフログ・体内物質の変動>
妊娠高血圧症候群を発症した妊婦では、健常妊婦と比較して早い時期から家庭血圧が高い傾向を示し、また、妊娠期間を通して睡眠の質が悪いことなどが分かったという。

<分娩前の代謝物の変動>
正常分娩となった症例の分娩日と尿中・血液中の代謝物の変動の関連を調べると、例えば分娩の約2週間前から分娩日まで継続して増加している代謝物を発見できた。こうした特定の尿中・血液中の代謝物濃度変化の特徴をみることで、実際の分娩日をAIで予測することに活用できる可能性があるという。

<ゲノム変異による出生体重の違い>
妊娠期間中に発症する病気に関連して低出生体重児が近年増加していることから、今回、遺伝的な関連を調べるため、出生体重に関連する妊婦のゲノム変異を探索した。その結果、産まれてくるお子さんの出生体重に特異的に関連する遺伝子変異を発見した。

研究チームではこれらの成果により、妊婦や胎児の疾患リスク、低体重での出産リスクを未然に防ぐ個別化予防・医療の実現などに貢献できるとしている。共同研究は2019年3月31日で終了するが、ToMMoは、本共同研究で培ったノウハウやデータを幅広く社会に発信すると共に、個別化予防・医療の実現のための基盤開発および解析をさらに進めていく。

※1 ドコモが本共同研究向けに開発したスマートフォン用アプリ等を使用し、血圧や体調などを入力したもの

 

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